アルプスの名峰を望むユングフラウヨッホ!鉄道の楽しみ方と絶景を見る秘策!

もしかするとスイスで最も有名な登山鉄道かもしれないというのが、ユングフラウ鉄道。全長はわずか9.3キロと短い路線ですが、終着駅であるユングフラウヨッホ駅は標高3,454m!駅の至る所に掲示してある「TOP OF EUROPE」の名のとおり、ヨーロッパで最も標高の高い場所にある駅です。

その、ユングフラウ鉄道の秘密と、展望台の楽しみ方をご紹介します。

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トップ・オブ・ヨーロッパ – ユングフラウヨッホへ

あまりにも有名なユングフラウヨッホ。スイスの観光の目玉で、「有名すぎるから絶対行かない!行かなかった!」という天邪鬼な人もかなりいます。しかしそれではもったいないです。なんのかんの言っても行く価値は大で、お天気に恵まれるようだったらぜひ訪れたい場所です。

スイスには氷河展望台がたくさんありますが、ここの良いところは、広大な雪原(アレッチ氷河の涵養雪原)に出て思う存分遊び回れることです。

そのユングフラウヨッホへは、出発地点のクライネ・シャイデック駅(標高2,061m)から約50分かけて、アイガー・メンヒのアルプスの名峰を貫くトンネルを登っていきます。途中、トンネル手前のアイガーグレッチャー駅、トンネル内のアイガーヴァント駅、アイスメーア駅に停車します。

1年を通じて運行していますが、冬季は減便になる他、気象状況によって運休となることもあります。往復で204.40スイスフラン(約23000円)。スイストラベルパス利用の場合は、25%引きです。

ユングフラウ鉄道って?

日本ではまた汽車の時代、スイスではアルプスの岩壁に穴をあけてヨーロッパの屋根の上まで列車を走らせる工事が始まり、最大勾配250パーミルのトンネルを完成させました。特別な登山鉄道のため運賃は決して安くないですが、スイス初の世界自然遺産にも登録されているアルプスの奥座敷の姿は、ここでしか味わうことができません!

スイスの人々はすごいことを考えますね。日本ではまだ汽車の時代、京都に初めて電気鉄道が登場した1896年(明治29年)に、この小さな国ではアルプスの岩壁に穴をあけてヨーロッパの屋根の上まで列車を走らせる工事が始まっていたのです。

1912年にアイガー北壁をぶち抜くトンネルがようやく完成を見てユングフラウヨッホまでの全線が開通しました。最大勾配250パーミルのトンネルを掘り、線路の間には歯車を噛ませ、16年の歳月をかけて夢は現実になりました。

ユングフラウヨッホを目指す

ユングフラウ鉄道に乗ってヨーロッパで一番高所にある鉄道駅【ユングフラウヨッホ】を目指します。まずは、クライネシャイデックの駅でユングフラウ登山鉄道の到着を待ちます。チケット購入時に、どこから来たのか聞かれるので何かと思ったら「ユングフラウ鉄道パスポート」というミニ冊子が貰えました。

列車は30分間隔で運行されていて、観光客の数に合わせて一度に出す車両の本数を調整しているようです。世界有数の観光地ということもあり、欧州、アジア各国から多くの観光客がやってきています。こちらには整列乗車という概念が存在しないのか、結構みなさん我先モードな感じですね。

グロンデルワルトからクライネシャイデックは緩やかに、ユングフラウヨッホまではかなり急勾配です。

グリンデルワルドから一度グルントに下り、スイッチバックしてクライネシャイデックまで向かいます。グリンデルワルドで乗り込む際には、アイガーと反対側の座席に、進行方向に背を向けて座るのがおすすめです。団体専用の車両が連結されることが多いので、車両プレートをよく確認することが大事です。

朝9時頃の車内。10月の平日なのか、人はまばらで全方向の車窓を楽しめました。

クライネシャイデックはユングフラウ鉄道の乗り換え駅としてにぎわい、レストランや売店が数件あります。ここを基点にハイキングコースが延びていて、スイスの絶景ハイキングを満喫できます!

クライネシャイデック駅に停車中のユングフラウ鉄道。これから山の中をグイグイ上がっていきます。

1つ目の駅「アイガーグレッチャー」を過ぎると、鉄道はアイガーの中に開けられたトンネルへと入っていきます。標高2000〜3000m台を走っているのに地下鉄という不思議な状況…。
車内ではウェリ・シュテックのアイガー北壁登攀の映像やユングフラウ鉄道の歴史が流れています。車内アナウンスはドイツ語、フランス語、英語、日本語、中国語、韓国語にて流れます。

トンネルに入って最初の停車駅は「アイガーヴァント」。アイガーヴァント駅はその名のとおりまさにアイガー北壁に面した駅で、アイガー北壁に空けられた窓から外を眺めることができます。停車時間は5分ですので、皆さんその間に写真を撮ったりトイレに行ったりアクティブです。下りの電車はトンネル内の途中駅には止まらずに通過するので、写真を撮るなら上り列車がチャンスです。

アイガー北壁が見える窓側から撮った、停車中の列車。

列車を降りてアイガー北壁を望むガラス窓へと進みます。

それにしても巨大な岩盤にトンネルを通した上に、ヨーロッパ三大北壁の1つに窓まで空けてしまうなんて…。数々の登山家が挑戦し散っていった恐ろしく切り立った崖に面していて、数分間の停車時間の間に下車してガラス越しに北壁と遥か下のグリンデルワルトなどの景色を見ることができます。

次の停車駅は「アイスメーア」。こちらは山の向こう側(北向き)に窓が開けられています。やはりこちらも同じような構造で、5分の停車時間の間に列車を降りて、目の前に広がる「フィッシャー氷河」を眺めることができます。ここを過ぎると終着駅ユングフラウヨッホに到着します。

ガラス越しに見えるユングフラウ。

男性的なアイガーに対して女性的な山(「ユングフラウ」は「処女」の意味)とされるユングフラウですが、いやいや充分険しい山に見えます。ベルナーアルプスの中でも最高峰の4158mという標高は圧巻です。

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大パノラマ展望台の楽しみ方

クライネシャイデックから52分で、標高3454m、鉄道駅としてはヨーロッパ最高地『ユングフラウヨッホ駅』(3454m)に到着。目玉はスフィンクス展望台です。ここから地下に張り巡らされた通路やエレベーターを使って、3571mのスフィンクステラスや雪上へ出て、スキーや雪上ハイキング、氷河トレッキングなど様々なアトラクションを楽しむことができます。

ついに到着、ヨーロッパ最高所にある鉄道駅。駅はトンネルの中です。

3573mという標高にあるため、当然外の気温は真冬並に寒いです。10月頭でマイナス7度。厚手のダウンを着ても寒くて長時間外に出ていられませんでした。それでもすごく澄んだ空気に、辺りは一面白銀の世界。これだけでスイスに来た甲斐があります。

ヨーロッパ最高所にある地下の駅から、まず標高3571mのスフィンクス・テラスまで上って展望を楽しんでから、さまざまなアトラクションが備えられた駅の施設が楽しめます。

スフィンクス展望台。寒さと悪天候がいまいち伝わらない写真。

展望台に着いて外にでてみました。写真の通り、5分位は晴れていたのですが、あっという間に雲がかかり辺りは真っ白に。晴れていると素晴らしい眺めがのぞめるはずなのですが。ぜひ、これから行かれる方は素晴らしい眺めを堪能してきてください。晴れていたら日差しも強いので、手袋や日焼け止めはあった方がいいですね。

北側はスイスの平野部に連なる景色。雪の世界から見える緑が新鮮。雲が晴れた一瞬ですが・・・。もはやこれまで。

結局、アレッチ氷河やユングフラウが何処にあるのか全く分からず終いでした。残念ながら、アイガー北壁の全貌も拝むことはできませんでした。本来ならば、南側にはヨーロパ最長のアレッチ氷河が見えます。

西側には少しだけメンヒが見えます。雲がかかる直前に撮れました!

メンヒの山頂までは往復6時間ほどで行けるとのこと(ガイドツアーがあるようです)。もちろん、アイゼンやピッケルなどを使用する登山になります。もし、雪上を重装備で歩いてる人々を見かけたら、途中にあるメンヒスヨッホヒュッテという山小屋までのハイキングだと思われます。

猛烈な風と吹雪と寒さで、外にいられるのは1~2分が限界という感じです。

駅に直結する、スフィンクス展望台の中は暖房きいてて快適です。お土産物を販売する売店があります。また、カフェテリアや映写室などがあります。全ての表示に日本語が併記されているので、言葉の心配はありません。そして入口には赤いポストがあります。富士山五合目簡易郵便局とは、山岳郵便局の姉妹提携がされているのだとか。世界一高い場所から手紙を出すのも面白いですね。

世界最高峰の郵便ポスト。

高山病にならない?

ユングフラウ鉄道はたかが50分で一気に標高3500mオーバーまで登ってくれちゃうものですから、ユングフラウヨッホ駅に到着したときに、「酒も飲んでないのに、あれ?なんかフラフラする。」といった状態。そうです軽めでしたが高山病です。

富士山と同程度の標高まで一気に鉄道で上がるので、高山病になったり体調を崩す人も結構いるようです。フラフラになっている観光客も数人見かけました。

高山病=頭痛&呼吸困難と思ってたのですが、酸素が薄い所だと色んな症状が出るものでね。私の場合は少酔っ払った感覚でしたので、お年寄りのようにゆっくりゆっくり歩いてこれ以上酷くならないように動いていましたが、すぐに症状は治まりました。

後から知ったのですが、高山病予防に効く『グリコラミン』があるそうです。ハイチューのようなキャンディーのようなものです。スイスの薬局で売ってます。健康な人でも高山病にならないとは限らないので、お守り代わりとして持参するのが得策です。

注意点

そんな特別な登山列車だから仕方がないけれど、運賃は決して安くありません。せっかく上がたのに何も見えなかったということのないよう、ホテルや駅のモニター画面で展望台の天気を放送しているので、確認してから乗り込みましょう。

悪天候が続く中で突然天気のいい日になると、ユングフラウに行く人々が殺到し、ユンフラ鉄道の切符は午前中早々に売り切れてしまうそうです。切符自体は2週間有効なので、当日ではなく早めに購入しておいても良いですね。

ユングフラウヨッホを訪れるなら、ユングフラウ3山に陽があたる、クライネ・ジャック発15:30以降のユングフラウ鉄道に有効の『グッド・アフタヌーン・チケット』がおすすめです。

まとめ

  • ユングフラウヨッホは、今やスイス観光のハイライト。スイス初の世界自然遺産にも登録されているアルプスの奥座敷です。
  • 途中2回鉄道を乗り継いで約2時間で行くことができます。トンネル内の停車時間は5分あって、その間に写真を撮ったりトイレにも行けます。下りの電車はトンネル内の途中駅には止まらずに通過するので、写真を撮るなら上り列車で。
  • ユングフラウヨッホでの滞在時間は、展望台うから景色を眺めるだけなら1時間、アトラクションや食事も楽しむなら、2~4時間といったところです。
  • ユングフラウ鉄道は50分で一気に標高3500mに上るので、高山病に注意してください。高山病予防に効く『グリコラミン』という薬がスイスの薬局で買えます。

ユングフラウヨッホ駅から直結の展望台がスフィンクステラスですが、よくもまあこんな断崖絶壁のとこにこれだけの施設を作ったもんだと敬服させられます。そもそもユングフラウ鉄道だって、アルプスの山をぶち抜いてこんな3500メートルもあるところまで電車走らせること自体凄いのに、更に展望台ですからね。スイス人の知恵と努力に脱帽ですね。

ユングフラウ観光の場合、このスフィンクステラスに到着した時点で妙な達成感があって、肝心なユングフラウの全貌を拝むことが出来なかったのですが、なんか納得させられるだけの不意義な場所です。

今回スイスで狙った名峰のうちはっきりと拝めたのは、マッターホルンとアイガー。ユングフラウではお約束の猛吹雪に見舞われましたが、それもまた良しとします。

スイスは夏の旅行がポピュラーですが、今回改めて感じたのは美しい山々を見たいなら冬のほうが確立が高く綺麗であるということ。雪山の美しさに本当に感動しっぱなしでした。

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