スイスは世界に冠たる鉄道大国。国内には路線網が張り巡らされ、その運行は時間に正確。列車や駅は清潔で、スタッフも親切。鉄道を利用することによって正確で安全、かつ快適な旅が楽しめます。鉄道の旅のプランニングのヒントをご紹介します。
Contents
スイスの優れた交通ネットワーク
列車の種類
安全、正確、清潔と3拍子揃った、世界でもトップレベルの鉄道システムを持っているスイス。スイスの鉄道網は、総延長約5000㎞もにも及び、その半分はスイス連邦鉄道Swiss Federal Railways(スイス国鉄)でSBB(ドイツ語)称されています。
都市を結ぶ主要幹線に鉄道を巡らせていて、それ以外の支線や登山鉄道はどは60社にもおよぶ私鉄がカバーしています。
なかでも旅行者がよく利用する私鉄は、ユングフラウ鉄道、ベルナーオーバーランド鉄道、ゴルナーグラート鉄道などがあります。国鉄、私鉄ともほとんどの列車に1等と2等があり、すべて禁煙席になっています。車内は清潔で快適。発着時刻もほぼ遅れることなく正確です。
また、スイストラベルパスを利用すれば、登山鉄道を除き、ほとんどの路線で国鉄、私鉄の区別無く使うことができて便利です。ただし、乗りたい私鉄がカバーされるかどうかを事前に確認しておきましょう。
列車の種類
スイス特急では、氷河特急のような特別列車を除き、日本とは異なり急行料金や特急料金はなく、到着駅までの距離による一律料金となります。また、全ての列車で自由に途中下車できるのも特徴です。
例外はあるものの、どの種類の列車にも切符やパスだけで乗車できます。なお、一部の列車には座席指定料がかかるので確認が必要です。以下は主な国鉄の種類です。
- IC(インターシティ)スイス国内を走る都市間特急・・・旅行者が利用する機会が多く、例えばチューリッヒとジュネーブ間を3時間で結びます。冷暖房完備で二階建ての車両もあり、とても快適です。準特急ともいえるIR(インターレギオ)もあります。
- Schnellzug(シュネルツーク)急行列車・・・ICに比べ走行距離も短く、停車駅が多い。
- Regionalzug(レギオナルツーク)各駅停車・・・非常に短い区間で、全ての駅に停車する。
移動は拠点都市をつないで
スイスは国土を東西に貫くアルプス山脈があるため、地図を見るだけでは所要時間を把握するのは難しいのが実情。列車の速度や運行頻度、地理的な理由から、最短の路線が最速のルートになるわけではないからです。
出発地から目的地に向かうなら、目的地と反対方向であっても、最寄りの大都市を経由すると移動時間が少なくなることが多いんです。
例えばルツェルンからツェルマットへ向かう場合、少し遠く見えてもベルンを経由する方が、インターランケンを経由するより約1時間も時間を短縮できます。
スイスの場合、まる1日かかるような移動はほとんどありません。特に大都市間を移動するなら、列車は頻繁に運行しているので、時間を気にせず気ままに旅ができます。また、見どころになる都市間の距離が短いなら、1カ所に滞在して往復することも検討してみる価値はありそうです。
時間の限られた旅行者
短時間でいろいろな街を巡りたい人は、あらかじめしっかりとスケジュールを決めておく必要があります。SBBのウェブサイトは、国鉄のみならず私鉄やバス、湖船、ケーブルカーなどのスケジュールも分かるので非常に便利。旅行日、出発時間、出発地、到着地を入力すれば、いくつかの行き方が表示されます。【URL】www.sbb.ch
座席が取れるか不安な人は、旅行会社などを通して日本から座席の予約をすることも可能です。ただし、予約ができるのは観光列車やEC、ICの車両のみとなっています。
事前予約が必要な特急列車
予定に縛られたくない旅をしたくないなら、現地でその日の計画を決めながら旅ができます。出発前にだいたいの旅程と、どこにどれくらい滞在するかを決めておくのがベストです。
それでも時間が限られてきたり、少したりとも時間を無駄なく要領よく回りたい人、特にピークシーズンで不安な人は、日本で観光列車の座席指定はしておいた方が良いでしょう。
スイスの素晴らしい風景を楽しめる豪華列車(氷河特急・ベルニナ特急)は、スイスに訪れたら是非乗車して欲しい特急列車です。とても人気があるので座席指定は必須ですが、乗る価値のt高い特別列車です。以下2つの特急列車の特徴も合わせて紹介します。
世界有数の景勝ルート『グレッシャー・エクスプレス』
毎年5月中旬から10月中旬の夏期、ツェルマットとサンモリッツの間を1日3本運行させている特別列車です。 12月中旬から5月中旬の冬期は1日1本の運行です。片道およそ8時間かかります。事前に旅程が決まっている場合、やはり出発前に日本で予約した方が安心です。予約は乗車日の90日前から可能です。
片道料金(ツエルマット~サンモリッツ)は1等262スイスフラン(約29000円)、2等149スイスフラン(16500円)。もちろんスイストラベルパスで乗車できますが、座席指定が原則です。事前予約料金はスイスフラン13~33(約1500~3700円)が必要です。
季節を問わず大人気で、 ほとんどのツアーがこの氷河特急を組み込んでいるような状況です。 もちろん日本だけではなく、 世界中からの団体ツアーも押し寄せます。 現地に着いてからの間際の予約は「そう簡単ではない」と考えるべきでしょう。
【URL】https://www.rhb.ch/cn/home
日本で予約する時は、もちろん自分好きな席を指定ができますが、乗ってみなければどんな人が隣に座るか分かりません。そんな時の対処法は、満席の場合は仕方がありませんが、例え指定券を持っていたとしても空いている席に移動しても大丈夫です。
それからゆっくり車窓を楽しみましょう。座席にヘッドホンが付いているので、日本語にキーを合わせれば見どころを説明してくれます。
世界遺産に登録されている『ベルニナ・エクスプレス』
ベルニナ特急も予約が推奨されていますが、氷河特急ほど神経質になる必要はないと思います。 もし予約が取れなくてもそれで大きく旅程自体が狂うことはあまり考えられません。その日のベルニナ特急が全部予約で一杯といったことは、夏期のシーズンでもあまりないと思いますが、 1本遅らせて通常の列車を利用すれば、同じ景色を堪能しながら移動することができます。所要時間もそれほど大きく変わりません。
ベルニナ特急は、基本的にはサンモリッツ~ティラーノ間で、夏期は5~6本のベルニナ特急が行き交います。 また、ベルニナ特急以外にも通常の列車を7~8本走らせています。
片道料金クール~ティラーノ間は1等123スイスフラン(約16000円)、2等76スイスフラン(約8500円)、サンモリッツ~クール間は1等69スイスフラン(約7600円)、2等45スイスフラン(約5000円)。これもスイストラベルパスで乗車できますが、全席予約制です。事前予約料金は10~45スイスフラン(約1100円~5000円)が必要です。
ベルニナ線の車窓からは、実際の氷河が次々と現れます。反対に氷河特急は、その名前とは裏腹に実際の氷河は見えません。 乗車時間もサンモリッツからティラーノまで片道約2時間半と適度なので、途中沿線の観光やハイキングを組み込みながら旅のプランに組み込んでも良いですね。
指定席予約は必ず必要か?
スイストラベルパス保持者は、事前に座席予約が原則です。その都度切符を購入して乗る場合、シーズンオフの時は指定券を持っていなくてもそのまま乗車し、車内清算して空いている席に座ることができます。
気を付けたいのはハイシーズン。日本人や外国人の団体客が乗っていて満席状態になっていることも結構あるので、現地であたふたしないように座席指定は早めにしておいたほうが得策です。
まとめ
- スイスでは世界でもトップレベルの鉄道システム優れた交通システムのおかげで、スムーズに無駄なく旅することができます。
- スイスにはさまざまな列車が走っていますが、日本とは異なり、特急/急行料金は原則として追加料金不要です。
- グレッシャー・エクスプレスは必ず座席指定した方が良いが、ベルニナ・エクスプレスはそこまで神経質になる必要はありません。
- スイスの場合、まる1日かかるような移動はほとんどありません。特に大都市間を移動するなら、列車は頻繁に運行しているので、時間を気にせず気ままに旅ができます。
- 現地での時間を有効に使うために、人気列車は必ず日本で予約しよう。
時間が限られた旅で、効率よく移動するのはとても重要なことです。スイスでは全国に広がる優れた交通システムのおかげで、スムーズに無駄なく旅することができます。
私が氷河列車に乗った時、運悪く(?)一車両全てを、お酒の入ったお祭り騒ぎの団体観光客に占められていました。景色を堪能するどころでは無く残念な思いをしました。旅の後半は席が空いてきたので、もちろん他の車両に移りましたが。
特に予約が必要な特別列車は、日本で予約する時は、もちろん自分好きな席を指定ができますが、乗ってみなければどんな人が隣に座るか分かりません。そんな時は空いている席にさっと移動して仕切り直しましょう。
そんなリスクもありますが、安全で正確なスイスの鉄道!時間が限られた旅で、効率よく移動するのはとても重要なことです。優れた交通ネットワークを有効に利用して快適な旅にしてください。