スイスの旅を計画し始めると、知りたいことがあれこれと出てくるはずです。スイスは世界でも有数の個人旅行のしやすい国です。それほど神経質にならなくてもいいですが、それでも、出発前にこれだけは知っておきたい!というものも結構あるものです。
ここでは、最低限「これだけは知っておいたほうがいい!」というものをご紹介します。
これだけは知っておきたいスイス旅行の心得
スイスへのフライト時間はどのくらい?
直行便を利用した場合、東京からチューリッヒへは所要約12時間です。現在の直行便は、東京/成田〜チューリッヒ(1日1往復)に限られており、スイスインターナショナルエアラインズと全日本空輸の共同運航便のみです。ヨーロッパの各都市で乗り継ぐ場合、乗り継ぎ時間を含めて14時間20分以上必要です。
スイスの空の玄関口はチューリッヒ・クローテン国際空港(Flughafen Zürich Kloten)です。スイス国内の空港で唯一日本への直行便が発着していて、その他国内線やヨーロッパ域内便のフライト本数も最多です。
また、スイスは西ヨーロッパの中央に位置しているので、周辺国経由で入国することが可能です。日本の航空会社の便も含め、乗り継ぎ便を利用してスイスを目指しても、同日に到着することが可能です。例えば日本を10時に出発し、隣国で二時間の乗り継ぎ時間をいれても、同日18時頃にはスイス到着します。
私は、料金と乗継でかかる時間が最小限の、フィンランド航空を利用しました。10月の平日出発(閑散期)で110000円弱で入手できました。スイスインターナショナルエアラインGWや夏休み時期は団体の利用も多く、予約が取りにくいことことがあるので、フィンランド航空やルフトハンザ航空のように、ヨーロッパ国内の乗継便も選択肢に入れると良いと思います。
日本との時差は?
日本との時差は8時間で、日本時間から8時間引いた時刻になります。つまり日本の正午が、スイスでは午前4時ということになります。なお、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日にかけて実施されるサマータイム中は、7時間の時差になります。
時差ぼけになったら?
時差ボケの症状は、目的地に到着した直後が最も強いように思いますが、実際には2~3日目が一番辛いことがあります。日中に到着して、どうしても眠いときには2~3時間ほど仮眠をとります。あまり長く眠ると、夜の睡眠に悪影響が出ます。
時間になったら眠くてもがんばって目を覚ましましょう。起きたら屋外に出て、太陽の光を浴びると、体内時計の調整が進みます。朝、起きたら熱めのシャワーを浴びると、目が覚めやすくなります。熱いお湯は交感神経を刺激して、活動的な1日を過ごすための準備をしてくれるからです。
スイスの通貨は?
スイスはEUに加盟していないため、通過単位はユーロ(€)ではありません。スイスとリヒテンシュタインでは、スイスフラン(CHF/SFr)が使われています。補助単位はサンチーム(Ct)または、ラッペン(Rp)で、100サンチーム=1スイスフランです。なお、スイス国鉄や主要デパート、高級ホテルやレストランなら、ユーロで支払いができる場所も増えています。
スイス観光にビザは必要?
日本国籍を持つ人は、観光目的の場合ビザは不要です。滞在できる期間は、連続する180日間のうち計90日まで。これは他のシェンゲン協定加盟国の滞在を合わせての日数です。パスポートの有効期限は、シェンゲン協定加盟国の出国予定日から3ヶ月以上が必要です。
シェンゲン協定は、加盟国相互の通行自由化と、手続きの簡素化を目的としたもので、加盟国はひとつの地域とみなされます。スイスを含む26ヵ国が加盟しています。
シェンゲン協定加盟国26カ国は、イタリア・ギリシア・ドイツ・オーストリア・ベルギー・ポーランド・ハンガリー・エストニア・アイスランド・フランス・ルクセンブルグ・オランダ・ポルトガル・チェコ・スロヴァニア・ラトビア・デンマーク・リヒテンシュタイン・ノルウェー・スウェーデン・フィンランド・スロヴァキア・マルタ・リトアニア・スイス・スペイン。
乗り継ぎ便の場合、初めて降りる空港で入国スタンプが押されます。シェンゲン協定加盟国のいづれかの国へ降り立った場合は、その国のスタンプ一つで終了です。スイスに入国しても、スイスのスタンプはもらえません!どうしても欲しかったら、スイス直行便の飛行機に乗りましょう。
番外編!入国審査の自動ゲート
入国審査のための自動ゲートは、ヘルシンキでは2012年5月から始まっています。実際ヘルシンキ空港でトランジットした際に使ってみました。
まずはICチップ入りパスポートの顔写真のページを読取機にあてて、ゲートが開いたら中へ。右のカメラの方を向くと顔認証を行ないます。どういう仕組みなのか分かりませんが、バイオメトリックパスポートの本領発揮という感じでその技術に感動です。
次のゲートが開いたら、係官のいる窓口でパスポートにスタンプを貰って終わりです。最後は人の手でスタンプを押すんですね…(笑)
治安はどう?
スイスはヨーロッパの中で最も治安のいい国の一つです。旅行中に治安について不安を感じることはほとんどありません。ただし、ジュネーブやチューリッヒといった大都市では相応の注意をしてください。スリや強盗などの被害み報告されているので、夜暗くなってから人気のない通りを行く場合はタクシーを利用するようにしましょう。
置き引きはどこでもいるので、ビュッフェなどで貴重品の入ったバッグを置いたまま席を立ったり、人混みの多い駅で荷物を置きっぱなしにしたりしないこと。常識的な行動をしていれば問題になることはありません。
日本人女性はよく、レストランで椅子の背にハンドバッグを掛けますが、これは置き引きに狙われます。バッグは必ず膝の上か足下に置きましょう。
物価が高いと聞きましたが、どんな感じでしょう?
基本的にスイスは世界でも1、2位を争うほど物価が高い国です。経済大国日本から旅行に行って、「え?うそ!高い!!」と感じるのはスイスくらいだろうと思います。特に高いのが外食費。マクドナルドで一番安いセットを頼むとCHF10(日本円で1100円位)、露店でパンにハムを挟んだだけのサンドウィッチを買うとCHF8(日本円で880円位)、カフェレストランでパスタを食べるとCHF25(日本円で2750円位)、といった調子。安く済ませることができません。
そもそも、国が定める最低賃金が、月給CHF3000(約36万円)だし、ウエイトレスやウエイターの時給がCHF25(約3000円)という人件費が高い国だから仕方がないかもしれません。
レートによって変動しますが、キオスクなどで売られているサンドイッチでだいたい550~700円。レストランでパスタと飲み物を注文して3000円程度です。宿泊費については1泊で、ユースホステルは1ベッド4000円前後から、個室シングルは1万円位からあります。星が2つでも1万5000~6000円のホテルなら快適に滞在できるでしょう。
チップは必要?
ほとんどのホテルやレストランの金額にはサービス料が含まれているため、必ずしもチップを払う必要はありません。ただし、満足のいくサービスを受けた時は感謝の気持ちを込めて、5~10%程度おいておくと良いでしょう。
スイスは夏でも寒い?
スイスは北海道よりも北、サハリンと同じくらいの緯度に位置しています。日本よりも緯度が高く山がちなので、平均気温は日本より低いです。大まかにいうと、春と秋は肌寒く、夏はカラリと爽やかで、冬は底冷えがします。目安として、東京よりも1ヶ月分くらい涼しい/寒いと考えておけば、持っていく服も選びやすいです。
真夏の日中は気温が30度くらいになり、Tシャツ1枚でも大丈夫な日も多いですが、朝晩は冷え込むので羽織るものは必ず用意しましょう。ユングフラウヨッホやゴルナーグラートなど、標高3000m以上の高さにある展望台には夏でも雪が残っていることがあります。セーターや薄めのダウンジャケットがあるといいでしょう。
ベストシーズンはいつ?
夏はハイキング、冬はウインタースポーツと、年に2回のベストシーズンがあります。特にハイキングの時期は日本人観光客に人気なので、高山植物が咲き始める6月から混み合います。
スイスの山ではハイキング・トレッキングコースが非常によく整備されていて、コースの豊富さでも世界で他に例を見ないほど充実しています。当然ハイキング・トレッキングのベストシーズンは春から初秋(5月〜10月頃)になりますが、「冬山登山」にならない程度のコースでは冬でも問題ありません。
氷河特急、ベルニナ急行などのスイスらしい風景の中を走る列車については、基本的に通年で運行しているためこの時期じゃないと、という時期はありません。ハイジが駆け下りてくるような緑の草原と青い空を車窓から見たい!ということであれば、夏のうちに行かれることをオススメします。
ハイキングするならオススメの時期は春~夏ではないでしょうか。ようやく溶けた雪のあいだから小さな花が咲き出し、青白い水が川を勢いよく流れ、まさにスイス!な景色を堪能できると思います。
おみやげを買うときの注意点は?
チョコレートをお土産にする場合、フレッシュクリーム入りは長持ちしないので避けたほうがいいでしょう。ワインなどのアルコール類は免税で日本に持ち込める量が決まっているので、あらかじめ確認をしてください。
なおチーズは日本に持ち込めますが、クリームタイプのものは液体物と見なされることもあるため、預け荷物に入れるのが無難です。肉類は加工してあるものでも、基本的に持ち込みできません。
役に立つ情報収集
スイス政府観光局
日本でスイスの観光情報を入手するなら、まずここのウェブサイトを訪れましょう。一般の人は直接観光局を訪ねることはできませんが、必要な資料はすべてウェブサイト上で公開されています。
国の基本情報から最新のニュース、各エリアの特徴、交通機関の利用法まで、幅広い情報を扱っています。資料はPDF形式になっていて、すべてダウウンロード可能。送料を負担すれば印刷された資料を送ってもらうこともできます。
駅の窓口
観光情報ではありませんが、交通機関の情報を得るには駅の窓口が一番早くて正確!目的地までの最適、最速のスケジュールをすぐに提示してくれます。スイストラベルパス所持者で、チケットを買う必要のない人でも親切に対応してくれます。
現地観光局
さずが観光立国、小さな街や村にもきちんとした観光案内所があり、直接旅行者の質問に答えてくれます。ホテルやレストランのリスト、観光施設の資料や地図などが入手でき、職員も英語での対応が可能。Wi-Fi接続のサービスを無料で提供しているところもあります。もちろんイベントの情報なども入手可能です。
インターネットを活用
日本の観光局だけでなく、現地の観光局や交通機関が発信する情報、また日本のスイス好きの人たちが発信する情報まで、インターネット上には貴重な情報があふれている。なかには更新されていない古い情報も含まれているかもしれませんが、日本ではなかなか得られない現地の最新情報を入手することが可能なんです。現地のサイトの多くは日本語には対応していないが、ほとんどが英語で閲覧できます。
スイス初、参考になるおすすめサイト
Swiss International Air Lines
日本とスイスを結ぶ唯一の直行便をもつ航空会社のサイト。予約やチケットの購入はもちろん、現地空港案内もあるほか、ホテルの手配もできます。
SBB
スイス国鉄のサイト。鉄道だけでなく、バスや湖船まで、スイストラベルシステムの時刻表を全てチェックできます。英語で閲覧可能。
MeteoSwiss
スイスの気象庁が発する天気情報。地名を入力して検索します。かなり小さな町の天気も調べられる。日本語は無いですが英語で閲覧できます。
Swissinfo
スイス放送協会が運営する。現地在住者のプログラムをはじめ、スイス国内向けのニュースを日本語で読むことができます。
まとめ
- 現在、日本からスイス(チューリッヒ)へ直行便で行けるのはスイス・インターナショナルエアラインズ(LX)のみ。直行便を運航しているのは、東京/成田国際空港からチューリッヒで、週7便(毎日1便)です。
- 日本との時差は8時間で、日本時間から8時間引いた時刻になります。3月の最終日曜日から10月の最終日曜日にかけて実施されるサマータイム中は、7時間の時差になります。
- スイスはヨーロッパの中で最も治安のいい国の一つですが、ジュネーブやチューリッヒといった大都市では、スリや強盗などの被害に注意してください。
- 基本的にスイスは世界でも1、2位を争うほど物価が高い国です。特に外食費は高く、旅行者は安く済ませることはできないので、宿泊代で調節しましょう。ユースホステルは4000円前後から、個室シングルで1万円位からあります。
スイスは最も安全な国の一つですが、気を抜いてはいけません。日本の常識=世界の非常識。出発前に知っておくと危険を回避できます。