あなたは洋服の原価を知っていますか?
「この服、いったいどれくらいで作って、どれくらい儲かっているんだろう?」一度は洋服についてそんな疑問を抱いたことがあるはずです。洋服の原価って気になったことはあっても、普段知る機会が少ないと思います。
つい先日、ZOZO前澤社長の原価発言も話題になっていましたよね。
20年間アパレル業界にいた私の経験と情報をもとに、洋服の原価について簡単に説明してみたいと思います。
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あなたは洋服の原価を知っていますか?
今回のお話は、私の知っている限りの内容なので全ての会社に当てはまるものではありません。ですが、アパレルではだいたいの基準みたいなものはあります。
洋服の原価が知りたい!ズバリ、洋服の原価は?
「洋服の原価」はメーカーによって様々ですが、
原価はだいたい30%です。
一般的な洋服の原価は20%~30%程度で、10,000円の洋服にかかっている費用は、2,000円から3,000円ということになります。
- 服の原価というのは、洋服を作るためにかかっている費用のことです。
もちろん「原価」は
- アパレル企業によって違う
- アイテムごと(コートやニットなど)によっても変動する
- デザインが変わらない定番で、毎年同じものを大量に作っていれば安い
このように、アパレル企業の体質にもよっても違ってくるし、定番ならば大量発注できるので、原価率は大きく下がるでしょう。20%を切るものも存在します。
つい先日も、ZOZOタウンの前澤社長がTwitterでつぶやいて話題になっていましたね。
いまお店で約1万円くらいで売られている洋服の原価がだいたい2000〜3000円くらいだということを、皆さんはご存知ですか?
メーカーによって原価率は違うの?
まず先に、原価と原価率の違いについて簡単に説明します。
- 原価 製品(商品)の生産にかかった費用
- 原価率 原価を売価で割った比率
日本にはいろいろなメーカーが孫存在しますが、一般的な原価率は、
- 109系などの販売価格を安く設定している場合は、約15〜20%
- 百貨店などに卸す商品の場合は、約25%
- セレクトショップのオリジナル商品は、約30%
このように、価格が安いから原価が安いとも限らないのがミソです。
しまむらのように、安い服ほどよく売れるという想像もできますので、「価格が安い物は原価率が高め」、また「価格が高い物は原価率が低め」に設定しているところも実際にあります。
価格が高い物は一般的にはそんなに売れないのでそんなに数を作れません。なので、少ない量でもある程度の利益を出すため、という理由なのでしょう。
原価が高い服は価格も高い?
50%
こちらの数字、なんだかおわかりになるでしょうか?
これはズバリ、弊社のブランドであるUNITED TOKYOの原価率です。
つまりは、原価率が高いほど「質の高い洋服」ということになります。原価が高いからといって価格が上がるわけでもないですね。
原価のパーセンテージが高い程(原価率)、お得ということになります。「原価率が高い」ということは、「企業が得る利益が少ない」ということにもなります。
メーカーの儲けはどれくらい?
服の原価とメーカーの儲け
メーカーから小売店(セレクトショップなど)に卸す時の値段はだいたい定価の50~60%です。ざっくりと計算してみましょう。
- 10,000円の服の内訳は、
服の原価 3000円
メーカーの利益 3000円(定価の30%)
小売店の利益 4000円
単純な計算ですが、ざっとこんな感じになります。メーカーは原価の他に、10,000円の定価の30%を利益分として乗せています。一方で小売店は定価の40%が利益として成り立っているわけです。理解できたでしょうか?
あなたがもしも、セレクトショップなどで服を買えば、そのお店は大体定価の40%の利益が上がるわけです。
もし、小売店などどこにも卸さず、メーカー直営ショップで売るとなると、なんと70%の利益を得ていることになります。
もちろん全部のメーカーがそうではありません。原価20%台のブランドもありますし、ユニクロの原価率は30%台後半だとのことです。
値段のつけ方
「このメーカーの原価率は30%で、かたやこっちのメーカーは原価率が50%」のように、服を作るための経費に開きがあるのはどういうことでしょうか?
例えば、卸売りをしないで、自社製品として生産から販売までを行う会社では、値段の付け方が変わってきます。
今まで仲介していた小売店がなくなった分、自社の利益が高くなります。10,000円の原価が3000円とすると残りの6000円がすべて利益になります。
自社ブランドを販売するといった方が分かりやすいでしょうか。日本では「ユニクロ」、海外でいえば「H&M」や「ザラ」が代表的な例ですね。
小売店に卸さないから安く買える
例えば、卸売りをしないで、自社製品として生産から販売までを行う会社では、値段の付け方が変わってきます。
自社ブランドを販売するといった方が分かりやすいでしょうか。日本では「ユニクロ」、海外でいえば「H&M」や「ザラ」が代表的な例ですね。
小売店に卸さなくていいので、メーカー側の利益と小売り側の利益の両方が得られます。そうすると利益が多くなり、収益が増えるという大きなメリットがあります。
中間マージンが無いからと言っても、ユニクロはシャツやデニムを10,000円では売っていません。手数料がない分、価格は抑えめにしてバランスを取っていますよね。
小売店の利益は雀の涙
定価の30パーセントが原価だと聞くと、
「えー!ぼったくりじゃないの?」「定価のわりに原価安すぎじゃない?」と思いますよね。
いやいや、とんでもないです。正直言って原価率30%ではほぼ利益が出ません。メーカーの利益は、商品が全部完売することが前提の数字ですよね。
作ったものが全て売れるわけでもありませんし、セールで30%引きとなれば、その分利益も出ません。それどころかマイナスになるものもあります。
販売員の給料や光熱費なども当然かかってきますから、利益率が10%以下のところもあります。
無駄が多いのでしょうか?暇な時間帯に販売員が山ほどいたり、セールでの値下げ時期が早すぎて、定価で売れる期間が少なかったり…。儲からない理由を挙げればきりがないです。
100円だろうが1000円だろうがどうでもいいいんです。上乗せされている利益はボッタクリの利益じゃないことは分かって欲しいですね。
原価率が高いほうがいい商品なの?本当のところは?
「高原価率=お得」とは言い切れない
原価率が高いからお得でしょうか?
結論から言うと、そうとは限らないです。
例えば、同じ定価で全く同じようなデザインで、原価(服をつくためにかかる費用)が違うとしましょう。10,000円の定価で原価が3000円の服と、原価が4000円の服、どちらが価値が高いですか?
当たり前といえば当たり前なのですが、原価率が高いほうが購入者にとって価値が高ですね。「お得」といったほうがピンときますね。
「原価率が高い」ということは、「企業が得る利益が少ない」ということです。数字だけでみるとこれが事実なんですね。あなたが原価にこだわっているのであれば、「原価が高ければお得」ということなります。
例えば、デザインは二の次で、とにかく値段に対していい素材を使っていればそれでいい、ということであれば原価にこだわっても良いかもしれません。
逆に、デザインを重視するのであれば、原価というものは何の意味もありませんよね。重要なのはあなたの価値感です。あなたの基準で、商品価値を見極めることではないでしょうか?
大雑把に言えば、
- デザインやブランド等はそうでもないけど、いい素材を使っている商品
- いい素材ではないけど、デザインやブランド等はいい商品
と、人によって価値観は違います。この2通りのように、商品の価値があなたの感性にぴったりとあてはまれば、原価なんて関係ないです。同じ10,000円でも原価率なんて関係なくなります。
極端な話、最高級の素材を使っていたとしても、それがあなたの趣味じゃない。または似合わないのであれば、あなたにとっては価値のないものになります。
まとめ
「洋服の原価」はメーカーによって様々ですが、原価はだいたい30%です。もちろん全てのメーカーがそうとは限りませんが、定価10,000円の服だと、原価は約3000円といったところでしょうか。
「原価率が高いから質が良い」というのはもちろんその通りで、服1枚に対する経費がそれだけかかっているという事ですね。
「原価率が高い」ということは、「企業が得る利益が少ない」ということにもなります。あなたが原価を重視するなら「お得な買いもの」になります。
でも究極なところ、私たちは服の本当の原価を知ることはできません。あなたにとって価値があるなら定価以上のものとなりますし、原価が高いから買うとしても、本当は好みのものではないのかもせれません。
あなたの選んだ服があなたの感性にぴったりとあてはまれば、原価率なんて関係ないのです。