ジュネーヴから日帰り圏内で行ける、オリンピックの街ローザンヌ。そして文化遺産にも登録されたラヴォー地区のブドウ畑。時間のない駆け巡り旅行でも、ローザンヌからジュネーヴ観光まで、一日で存分に楽しめるんです。その方法をご紹介します。
Contents
グリュイエールからローカル線を乗り継いでローザンヌへ。モントルーからはレマン湖畔沿いに電車で25分程の街です。今回は宿泊を除いて3時間程度の観光しかできないということで、旧市街の散策に的を絞った日程になります。
ローザンヌは対岸にフランスのアルプスが迫るレマン湖沿いの丘陵地帯にある静かな街。ローザンヌの街は丘の上の旧市街と湖沿いの新市街に分けることができ、スイス国鉄ローザンヌ駅はそのちょうど中間に位置しています。
スイス国鉄の幹線が分岐する駅でもあるため、利用できる列車の本数や行き先が多いので便利。フランスやイタリアからの特急が乗り入れ、海外からの訪問客も多く立ち寄る駅です。ローザンヌ発パリ・リヨン駅直通のTGVも発着しています。
各地からの所要時間は最速で、ジュネーブ(コルナヴァン駅)33分、チューリッヒ中央駅2時間8分、ベルン1時間6分、バーゼルSBB駅2時間8分、ミラノ中央駅3時間15分、パリ・リヨン駅3時間41分(スイス国内はいずれも乗り換えなしのIC/ICN利用、ミラノ中央駅は旧チザルピーノのEC、パリはTGVをそれぞれ利用した場合)。
ローザンヌのホテルは主に湖沿いのウシー地区に多い傾向にありますが、全体的にホテルの数がそこまで多くはないので、取りにくい場合はジュネーブやヴヴェイ、モントルーなどに宿泊するのも手です。レマン湖沿いならばどこに滞在していても日帰り圏内です。
スイスにおける学問や芸術の中心地でもあり、世界的に有名なローザンヌ国際バレエコンクール(Prix de Lausanne)や、IOC国際オリンピック委員会本部があることでも有名です。公用語はフランス語(スイス・ロマンド)で、ドイツ語・イタリア語は殆ど通用しませんが、駅やホテルでは英語が良く通じます。
公園内の湖の岸辺は、対岸の雪を抱くモンブラン山系を背景に、湖水浴をたのしんだり、ボートを浮かべる人々の集う、市民憩いの行楽地となっています。
ローザンヌ繁華街は高台の旧市街、中腹の国鉄ローザンヌ駅周辺、湖畔のウーシー地区の3つ。中世の面影を残す旧市街は、ほとんどの道が歩行者天国で散策が楽しい街。各区間は歩けない距離ではないですが、坂道や階段が多いのが一番の難点なので、地下鉄メトロのm2号線を利用するといいです。高台の大聖堂までメトロで上がってしまい、下りながら観光すると楽です。
スイスでも有数の壮大さと美しさを誇るゴシック様式の大聖堂で、1170年から1235年にかけて建てられました。フランダースの犬でネロとパトラッシュが最期に見た、ルーベンスの十字架昇降架があります。大聖堂を目指すには、長い石段を上っていく必要があります。今回は旅の疲れで体調不良となり、坂道を歩く勇気はなく大聖堂を眺めただけでした。
駅から旧市街にかけては、このような坂になっています。湖畔側の地区と旧市街のエリアにはかなりの段差があるので、ローザンヌ市街は坂だらけです。
夕飯に入ったのは、困ったときのチャイニーズレストラン。やはり私はアジア人。チーズとジャガイモの毎日は辛いので、迷わずここを選びました。チャーハンと野菜炒めと餃子を食べましたが、本当においしくて生き返りました!
ローザンヌ~ヴェヴェイ~モントルーの丘陵は『ラヴォー地区』と呼ばれ、上質のスイスワインの産地として有名です。段々畑状のブドウ畑になっています。これらのブドウ畑が造られたのは11世紀頃で、その歴史と文化が評価され2007年に世界文化遺産に登録されました。
レマン湖北側の斜面には、1000年を超えるワイン造りの歴史と、ブドウ畑、湖、そして遠くに見えるアルプスが造り出す、絵に描いたような美しい景色が広がります。ヴェヴェイ発のローカル線に乗り車窓を楽しめます。畑の向かいはフランスで、お水で有名なエヴィアンがあります。
ヴェヴェイ発のローカル線に乗って途中下車し、ブドウ畑の間を縫うように造られた道をハイキングしたり、自転車を借りてサイクリングを楽しむのもいいでしょう。日当たりをよくするため高い木がなく木陰がないので、炎天下のハイキングはいささかつらいもの。そんな時は屋根付きのミニトレイン(4~10月運行)で見学するのがおすすめです。
モントルー駅からローザンヌ方面へ向かって約20分電車に乗ると、ラヴォー地区にあるキュリー (Cully) という町に着きます。ここから、美しいレマン湖とその後ろに広がるアルプスの山並みを眺めながら、葡萄畑の間を縫うように作られた小道が歩けます。
ミニトレインは、キュリー(Cully)、シェーブル(Chexbres)から出ています。ブドウ畑の間を進む1時間のコースで12~15スイスフラン(約1300~1700円)。眺望の良い場所で休憩があり、ワインやブドウの販売もあります。
収穫時期は活気があって楽しそうなブドウ畑。私達が行った時はもう終っていて静まり返っていました。次回はラヴォーエクスプレスに是非乗ってみたいです。
ジュネーブ(Genève)はスイス西部・フランス国境に面した都市で、スイス第2の都市。フランス語圏の中心的存在で、ジュネーブ州の州都でもあります。国際連合欧州本部があることもあり、外国人の姿が特に多い街で、在留日本人も数多くいます。
公用語はフランス語(スイス・ロマンド)で、駅やホテルなどでは英語もよく通じますが、タクシーやバスの運転手、商店などではフランス語オンリーの場合も多いのでご注意を。住民の約40%が外国人というコスモポリタンシティで、来訪者の約75%がビジネス客という商業都市です。
ジュネーブのシンボルはなんといっても高さ140mにも及ぶ大噴水「ジェ・ドー」(Jet d’eau)。レマン湖の水を吸い上げて勢い良く大空へ放っています。
春〜秋はほぼ毎日、冬場は日中のみ、天候条件が良ければ吹き上げられています。イギリス公園側から噴水の根元までコンクリート桟橋のような細い場所を通って行くことができますが、ほぼ確実にびしょ濡れになりますのでご注意を。
ジュネーブの市街地エリアはさほど広くないので、アクセスのよいホテルが多いのが特徴。国際都市だけにホテルの数も多いですが、見本市や国際会議(特にジュネーブ・モーターショーやテレコムワールド)などの日程が重なるとホテルの料金が上がったり、部屋が取りにくいということもあります。
翌日は朝から帰国しなければならなかったので、ジュネーヴ国際空港の近くに宿泊しました。電車で6分とアクセスも良く、エコノミータイプで一部屋100スイスフラン(約11000円)以下だったと思います。ジュネーヴでは市内のホテルに泊まると、ホテルが市内交通カードをくれるので、これを利用しない手はありません。
気軽に入れる雰囲気の店で、街を散策中についついフラッと入ったスイス家庭料理の店。スイスらしい木製の店内で、ラクレット(小)CHF6(約700円)、チーズフォンデューCHF23(約2600円)などが食べられます。後から知ったのですが、ガイドブックにも載り地元の人にも大人気の店だそうです。待たずに入れたのでラッキーでした。ジュネーヴに立ち寄ったら是非行ってほしいレストランです。ディナーの際は予約をしたほうがいいと思います。
私はここでフォンデュシノワを注文しました。シノワとはフランス語で中国風の意味で、中国はじめアジア各国で食べられているしゃぶしゃぶ鍋のスイス変形版。銅鍋で出汁スープやコンソメスープを熱し、牛肉や豚肉のスライスを自分で湯がき、数種類のソースにつけて食べます。付け合わせにフライドポテトも出てきました。
スイスを鉄道で駆け回って気付いたのが、どの駅に降りても魅力的な街が多かったことです。特にジュネーブは三方をフランスに囲まれていて、ヨーロッパ最高峰モンブラン(4807m)観光の基地であるフランスのシャモニ・モンブランへバスで1時間で行けます。余裕で日帰りできる距離です。
大都会から少し足を延ばすだけで、ローザンヌやラヴォー地区のブドウ畑まで観光できるんです。ぜひ、湖を眺めながら鉄道の旅を楽しんでください。